神さま…幸せになりたい

どうして?

どうして?どうして1人なの?
病室のベッドで詩織はこれからどうしようか考えていた…みんなで旅行に行く途中、居眠り運転の大型トラックがわが家の車に突っ込んできた。
なぜか私だけが生き残ってしまった。
どうして…涙が枯れるまで泣いても誰も戻ってこない。
数日たって声が出るようになった私は高校から付き合っている奏太に電話をかけた
「奏太…詩織だけど…」
「あぁーなに?」
「会えないかな?」
「俺も就職決まって忙しいんだけど…そうそう旅行キャンセルしたから、せっかくの沖縄だったのになぁー」
「ごめんね。」
「まぁ仕方ないな。退院は?まだ先?」
「今週には退院できるって」
「じゃあ退院したら…な…」
「うん…」
そう…私は退院するんだ。誰もいないあの家に帰らないといけない…
私が入院してる間に茜おばさんが葬儀を済ましてくれたと教えてくれた身内だけで…とりあえず私は就職先の病院に事情を話した結果5月から行くことになった。本当ならお姉ちゃんと同じ病院で働くことになってたのに…

数日後、私は一人で退院した。
荷物だけ置いて、彼の家に行くことにした。彼は1つ年上で私が高校1年の頃から付き合って、もう6年近くになる。大学から1人暮らしをしていた。お互い就職も決まったから一緒に住もうか…とも話していた。
「ピンポーン」
「はい。って詩織なんで…」
「ごめん。きちゃった…」
「いや…あのさー」 
「だーれ?ピザ届いたの?」

「えっ」

「いやーこれはーっ…」
「あんた誰?」
「いやっ…とりあえず詩織、事情は後で話すから」

バタン…

どういうこと?私以外にも付き合ってた人いたんだ…私が入院する時も来てくれなかったし…最近、そっけなかったし…そうか、そうか…
神さまっていじわるなんですねっ
どうして私だけ…私だけ…こんな辛いときに追い討ちをかけるんですか?
人の目を気にせず泣きながら家までの道を歩いていた。
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