神さま…幸せになりたい
亘くんが来てくれて私の心も安定した。頼れる人がいる。寄りかかれることが自分にとってどれだけ心強いか…
あれから2日、望夢はご飯も食べられるようになったので点滴が外れた。西先生からあと1日様子をみて大丈夫なら明日退院しましょう。と声をかけてもらった。

望夢の今までの写真もビデオも見てもらった。亘くんが知らない私と望夢…どの写真も2人だった。その写真を切ない顔で見ていた亘くんの提案で3人で写真を撮った。

亘くんは、西先生が特別許可を出してくれたので、ずっと側にいてくれて色んな話をした。もちろんこれからの3人の話ばかりだった。

亘くんは今シンガポールで恩師がいる病院で働いているそうだ。私が見つかったと西先生から連絡を受けて、すぐに来てくれたのでもう一度戻らないといけないこと…大体1ヶ月くらいで戻ってこれるから、その時は籍を入れて一緒に暮らそうと言ってくれた。

でも私には気になってることがあった…
「亘くん、お父さんとお母さんはいいの?私と結婚するの許してくれる?それと…望夢のことも…何も言ってないし…」

「詩織、大丈夫だから。父さんも母さんも詩織と結婚するって思ってたし、医院長親子のことを知った時も激怒してた。詩織が行方不明になってた時も心配してた。俺がシンガポールに行くのを反対もしてたんだ。詩織が見つからないのに日本を出るなんてバカなのか?って…望夢がいるって知ったら喜ぶよ。だって初孫だよ。母さんなんて溺愛するよ。だから心配しなくても大丈夫だから。な!」
そう言って頭を撫でてくれてホッとした。

望夢はすっかり亘くんに懐いてる。亘くんがシンガポールに行ったらどーするんだろう?大丈夫かな?

望夢は亘くんとシャワーを浴びてスッキリして帰ってきた。
「望夢、パパと一緒でチャプチャプしたの。よかったね!明日には退院できるからね。沙代子さんとあやちゃんも待ってるよ。会えるの楽しみだね」
望夢はニコニコご機嫌だ。

夕方、あやちゃんから明日は休み取ったから早く帰っておいでね。と連絡をもらった。2人には再会した後に亘くんの話をした。ビデオ通話にして亘くんにも会ってもらった。2人には今まで、本当に感謝してもしたりないほど、自分と望夢を守ってくれた。
亘くんも2人に会うのを楽しみにしている。
今日も望夢のベッドに一緒に寝て、隣に置いたソファーベッドには亘くんが…と思っていたら、亘くんが抱っこして望夢を寝かせてくれた。
「詩織はこっち」そう言って背後から抱きしめてくれて横になった。背中から伝わる亘くんは暖かく、眠気が襲ってきたが、くるっと向き直し亘くんを見上げた。「亘くんと会えて幸せ」本音が溢れた。「俺も詩織を抱きしめることができて幸せだ」そう言ってくれた唇が重なった。
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