神さま…幸せになりたい
初めてのビジネスクラスはやっぱり広い。望夢と一緒に横になっても窮屈ではなさそうだ。
望夢は最初は興奮していたようだが、やっぱり疲れていたのかすぐに眠りに落ちてくれた。
「詩織も寝ないと明日辛いよ」そう言われても、ビジネスなんてそうそう乗れる席ではなくので座り心地を満喫したい。フルフラットになるのもいいなぁーなんて遠足前の子供のように明日はどこ行くのかな?マーライオンは見れるかな?とスマホで観光地を探しては興奮してしまっていた。
「詩織…子供みたいだな」と亘くんに笑われてしまった。
「寝ないと機内食、俺が食べちゃうけど?デザート詩織の好きなアイスだったと思うんだけどなぁー」

「えっ…食べたい」

「じゃあ寝よ?」
頭を撫でられて、だんだん目が開けられなくなっていく…そう思ったら。そのまま眠ってしまった。

「まんまっ…まんま」と胸を叩かれて目を開けると望夢が私の上に乗ってるのが見えた。
あー眠っちゃった。ってかもう望夢は目が覚めちゃったんだ…亘くんも、もう起きていた。
「詩織おはよう」
「亘くんおはよう」
「着いたら迎えが来てるから」
「え?こんなに早くからいいの?」
「詩織と望夢に会いたいみたいでさ。迎えに来るって言うから…」
「そっか楽だね」
そんな話をしていたら、どこからかいい匂いがしてきた…と思ったら美味しいそうな機内食が運ばれてきた。

望夢もいっぱい食べてくれて満足したのか、亘くんの膝の上でウトウトしてきた。早く起きてしまったからだろう。
身支度をしていたらもう着陸してしまった。

手続きをして空港から出ると、遠目からでも目を引くダンディーな叔父さんが手を振っていた。
「亘〜」と呼ばれて駆け寄ってきた人に「初めまして」と挨拶された。

亘くんの恩師の三枝さんだった。
「先生、わざわざ迎えに来てくれてありがとうございました」

「君が詩織さんで、望夢くんだね。待ってたよ」

「初めまして…こちらこそ、朝早くすみません」

「いや…亘がこっちに来てからずっと想ってた人と結婚して、しかもこんなかわいいベイビーまで一緒に来るんだ。興奮して空港まで迎えに来てしまった。飛行機は疲れたろ?とりあえずわが家に行こうか」そう言って車で案内してくれた。

日本とは違う空気、違う景色にシンガポールにやってきたんだと嬉しくて亘くんの手を握ると笑って握り返してくれた。
< 47 / 51 >

この作品をシェア

pagetop