小悪魔と仮面舞踏会

ってか…

『谷元って誰?』

俺がそう口にすると

空気がピタッと止まり

シ~ンと静まり返った。

2人の視線を一気に浴びる…。

そして松山が口を開いた

「中学の頃の同級生よ。」

と…。

すると

「フッ…同級生ね。少なくとも彼は瑠美音のことただの同級生とは思ってないわよ!!」

鼻で笑ってみことかいう女がそう言った…。

「実瑚…あなたが私を恨んでるのは分かる。だけど過去のことじゃない。」

松山はなんだか必死なように見える。

一言一言返すのにいつもの余裕たっぷりな表情は見られない。

「私には昨日のことのように感じるけど瑠美音にとってはもう過去のことなんだ?」

「そんなこと…」

「だいたい!!あんたに裏切られた私の気持ちなんてこれっぽっちも分かっちゃいないでしょ!?」

そう叫んでからみことかいう女は空き教室を飛び出して行った…。

負け犬の遠吠えか?

そんなことを1人思った…。

松山に目を向けると

なんとも言葉で言い表せないくらい複雑な表情を浮かべていた…。

「尻尾撒いて逃げてったわね…」

と悲しそうに微笑(ワラ)って言った。

前髪を細い指先でかきあげてかきあげた髪の毛をずっと握っている。

よく脱力したり落ち込んだりした人がするような姿だ…。

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