小悪魔と仮面舞踏会

気のせいだろな。

そんなことを思ってると

「私以外の人は巻き込んで欲しくなかった…」

突然そう呟いた。

『えっ?』

「実瑚…言わなかったんだ?」

『なっ何が?』

「卒業式の日のこと。」

卒業式の日?

俺は首を横に振った。

「そっか…。話さなかったんだ…。」

独り言のように呟いた。

『なんで?何が…あったんだ?』

教えてもらえるんじゃないかという期待と

教えてもらえないんじゃという不安を

抱えながら

ドキドキ騒ぎ立てる心臓をそのままに

問いかける。

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