小悪魔と仮面舞踏会
「私以外の人まで巻き込んで欲しくなかったから。2人が居たら深く傷ついたと思うし、兄妹ってのは本人同士が一番よく分かってることだし…」
『そうだな…。』
「実瑚は自分が一番可愛い子なの。だから何かあったら人を盾にする子…」
なんだか悲しそうに言う松山に胸が締めつけられた。
『松山は…盾にされたのか?』
聞きづらいと思いながらも気になって聞いた。
松山は黙って頷いた。
「盾にするっていうか、まぁ自分が大事だから何かあったら人のせい?自分の非は絶対に認めない子なの。自分の思い通りにならないのがまず気に入らないから。」
なんていうか
まぁ、単なる
『ワガママだな』
俺がそう言うと
松山は笑って
「うん…。そうなんだ。実瑚に好きな人ができる前は違ったんだけどね…。」
と言った。
好きな人ができると
良いようにも悪いようにも
人は変わるんだな…。
「昨日実瑚に会ったとき谷元君元気?って聞いたでしょ?」
『あぁ』
「アレ、わざと聞いたの。卒業式の仕返しにね。イヤミでしょ?」
そう言って悪戯な笑みを浮かべる松山に
頬が熱を上げ
俺の瞳には松山しか映らなくなる…。