小悪魔と仮面舞踏会

その声の主は

振り返るまでもなく

俺らの目の前に現れた

「実瑚…」

冷静な松山の声

驚きも瞬きもせず

俺らの目の前に現れた女

牧原 実瑚を

じっと見つめていた…。

「瑠美音…分かってるみたいね。私が何か企んでるって…。」

イヤミなくらい歪んだ顔で笑いそう口にした

そんな牧原とは対照的に

「何を企んでるかまでは分からないけど…何か企んでるんじゃないかってことは予想してる」

無表情で無機質な声で淡々とそう言葉を発した

その姿はまるで

ロボットみたいだ…。

表情が何もないロボット

感情が何もないロボット

俺はそんな2人をポカンと口を開けて

交互に見るだけ

「そう…。相変わらず無表情で冷静沈着な女ね。」

皮肉な笑みを浮かべてそう言う牧原は

口の端がヒクヒクと引きつってる

「褒め言葉をどうも。あなたは相変わらず感情に左右されるわね。」

なんだか2人の間に

火花が散りそうな感じがして

俺は急いでベンチから立ち上がり

2人の間に立った。

松山の目の前に。

必然的に向かい合わせの形になる…。

その後ろには牧原が居る。

背中に痛いくらいの視線を感じる。

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