恋愛観測
「なんか、監視されているみたいじゃないか?」
「……は?」

 なんだよそのリアクション、俺は本気だぞと日雀はつづける。

「都会の夜空は明るすぎる。本当の暗闇を知らないから、こんなバカげたことを思うのかもしれないけど……何もない真っ暗闇に蠢く星って、怖くないか?」
「……」

 日雀はずっとそう思っていたのか。満天の星空に監視されていると。
 だから嫌いだと、本当の満天の星空に喧嘩を売るようなことをしていたの?
 日雀の指先が、僅かに震えている。寒さや恐怖からくる震えではなく、こんなことを言ってよかったのかと後悔するような震え方。

「でも、星は……」

 恒星は。
 香子は言おうとして、やめる。

「実物見た方が、早いや」
「え?」
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