恋愛観測
 ……あんなにも、楽しそうに空を見つめているのに。
 星が嫌いな天文部の男の子。日雀がそう豪語した時点で、香子は彼に星を好きになってもらおうと思った。どうして嫌いなのか知ろうとして、近づいてそして。

「好きって、言って」

 なんだこれは。告白みたいじゃないか。
 香子は自分で何を言ってるんだと心の奥底で焦りつつ、思いっきり声をあげる。

「だってあたし、ヒガラくんが……!」

 彼が星を好きになってくれたら嬉しいと。
 そう言おうとしたけどそれは建前で。
 本当は、本当は違うことを口に。
 口にしようとした言葉。

 先に言われた。

「好きになったよ、俺」

 天の羊の群れの下、日雀は香子の言葉を遮って、淡々と告げる。満天の星空と。それから。

「大伊さんの、こと」
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