恋愛観測
3
「あれ、今日も残ってるの? もう五時過ぎだぞ」
「そういうヒガラくんこそ」
今週一週間は地学室の掃除当番。香子は昨日に続いて今日も、地学室に残って星座盤を眺めていた。
掃除当番でもないのに日雀は今日も放課後の地学室に現れた。
昨日は彼が地学の先生に用があるからここに来たんだと思っていた香子、二日連続来るってことは何か特別に頼まれたことでもあるのかなぁなんてふと考える。
昨日は日雀が来て、逃げるように帰ってしまった香子だが、彼がここで何をしているのか見てみたいとどきどき逸る心を抑えて、今日は彼の言動を見守ることにする。
香子が星座盤から日雀へ、問い掛けるように目線をずらすと。
「俺はいいの」
鞄を教卓の上に置いて、日雀は慣れた手つきで地学準備室に入っていく。
「ちょ、勝手に入っていいの? 先生職員室だよ」
「無断じゃないからいいんだよ。鍵だって開けておいてくれてるんだし」