一人三脚(いちにんさんきゃく)/SF&ホラーショートショート選②
約束の足あと
”ココに来るなって、あれほどクギを打ってたのに…。バカだね…”
コドモは声変わり前の幼い声で、こう単刀直入に断じた
”おい!お前、誰なんだ‼”
この時点、ムツオは半ば察していた
21.5の足あとを自分の26.5より先に残したのが誰かを…
”遠い昔…、ボクにとってはほんのちょと前になるけど、忠告したじゃん。ココ来たらアウトだよって”
”…ちょっと待てって!お前、子供んときのオレなのか⁉”
ムツオは無言のニンゲン語でその足あとの声に向かって問いただした
***
”それは、キミが判断することだよ。ボクはただ、この地をキミにイメージさせて、行かないでねって発信してただけだし…。でも、安心して。ココを踏破したのはキミが初めてだから。こうとなってはね。ボクの足あとは幻想ってことでいいんだ。じゃあ、さよなら…”
”おい、待てよ‼…待ってくれー‼”
次の瞬間、ムツオの視界から21.5の靴跡は消えた
そしてそこに固定されていたカレの視野は、一気に広がる
まるでパノラマレンズのように…
そして彼は気づくのだった
ココがどんな空間なのかを
”ウソだろ…??”
これも声のないカレの…、孤独な絶叫となって己自身を貫くのだった
コドモは声変わり前の幼い声で、こう単刀直入に断じた
”おい!お前、誰なんだ‼”
この時点、ムツオは半ば察していた
21.5の足あとを自分の26.5より先に残したのが誰かを…
”遠い昔…、ボクにとってはほんのちょと前になるけど、忠告したじゃん。ココ来たらアウトだよって”
”…ちょっと待てって!お前、子供んときのオレなのか⁉”
ムツオは無言のニンゲン語でその足あとの声に向かって問いただした
***
”それは、キミが判断することだよ。ボクはただ、この地をキミにイメージさせて、行かないでねって発信してただけだし…。でも、安心して。ココを踏破したのはキミが初めてだから。こうとなってはね。ボクの足あとは幻想ってことでいいんだ。じゃあ、さよなら…”
”おい、待てよ‼…待ってくれー‼”
次の瞬間、ムツオの視界から21.5の靴跡は消えた
そしてそこに固定されていたカレの視野は、一気に広がる
まるでパノラマレンズのように…
そして彼は気づくのだった
ココがどんな空間なのかを
”ウソだろ…??”
これも声のないカレの…、孤独な絶叫となって己自身を貫くのだった