桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
「さあ、どうぞこちらへ。フレディがスコーンも焼いてくれたんですよ」
「うわー、やった!」
美桜はいそいそとソファへ移動する。
「焼き立てね。いい匂い」
さっそく、添えられたホイップクリームをたっぷりつけて、スコーンを口に運ぶ。
「おいしい!」
美桜が満面の笑みを浮かべるのを見て、クレアは安心したように頷いた。
「それにしても、びっくりしましたわ。坊ちゃまが倒れるなんて」
美桜は、アレンが倒れた時のクレアの様子を思い出していた。
(いつも冷静なクレアが、あの時はただ驚いて動けなかったものね)
「アレンが熱を出すのって、珍しいの?」
美桜が聞くと、クレアは紅茶のカップを手にしながら頷く。
「ええ。昔からお元気で、時々少し体調が悪かったり微熱があっても、一晩眠ればすぐに治りました。小さい時に一度だけ寝込んだことがあるくらいですわ」
あの時は、確かゆりえ様が付きっきりで看病されてました、とクレアは遠くを見るように続ける。
そう、と美桜はその光景を想像しながらベッドのアレンに目をやった。
(子どもの頃に熱を出すと、しんどくて辛いけど、隣にお母さんがいてくれると安心するのよね。眠ってても、うっすらそれを覚えていたりして)
アレンの記憶に、その時のお母様のぬくもりが残っているといいな、と願いながら美桜は紅茶を一口飲んだ。
「うわー、やった!」
美桜はいそいそとソファへ移動する。
「焼き立てね。いい匂い」
さっそく、添えられたホイップクリームをたっぷりつけて、スコーンを口に運ぶ。
「おいしい!」
美桜が満面の笑みを浮かべるのを見て、クレアは安心したように頷いた。
「それにしても、びっくりしましたわ。坊ちゃまが倒れるなんて」
美桜は、アレンが倒れた時のクレアの様子を思い出していた。
(いつも冷静なクレアが、あの時はただ驚いて動けなかったものね)
「アレンが熱を出すのって、珍しいの?」
美桜が聞くと、クレアは紅茶のカップを手にしながら頷く。
「ええ。昔からお元気で、時々少し体調が悪かったり微熱があっても、一晩眠ればすぐに治りました。小さい時に一度だけ寝込んだことがあるくらいですわ」
あの時は、確かゆりえ様が付きっきりで看病されてました、とクレアは遠くを見るように続ける。
そう、と美桜はその光景を想像しながらベッドのアレンに目をやった。
(子どもの頃に熱を出すと、しんどくて辛いけど、隣にお母さんがいてくれると安心するのよね。眠ってても、うっすらそれを覚えていたりして)
アレンの記憶に、その時のお母様のぬくもりが残っているといいな、と願いながら美桜は紅茶を一口飲んだ。