桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 芝生が広がる公園のあちこちに、キャッチボールをしたり、絵を描いたり、寝転んだりと、思い思いに過ごす人達がいる。

 仁は、一番近くにあったキッチンカーで、フィッシュ&チップスやスープを買ってきた。

 「ありがとう。あったかーい」
 「うん。おいしいね」
 
 緑がいっぱいの自然の中で食べるランチは格別だった。

 すーっと頭の中もすっきりして、日頃の悩みもどこかへ消えていくようだ。

 食後は三人でバドミントンを楽しんだ。
 思った以上に楽しくて、体も温まる。

 「はあ、もうだめ。ちょっと休憩」
 散々はしゃいだあと、絵梨がシートに倒れ込む。

 「楽しかったー。汗かいちゃったよ」
 美桜も同じくシートに寝転んだ。

 「空が綺麗だね」
 「うん。空気も澄んでる」

 三人はしばらくぼんやりと空を眺める。

 言葉はないけれど、同じ気持ちを共有していた。

 (きっと忘れられない風景になる)
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