桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 美桜は少し考えると、庭園前のスペースを思い出していた。

 マーチングの大会では、三十メートル四方の会場を使い、歩く歩幅は五メートルを八歩で、と統一されている。

 庭園前のスペースも、三十メートル四方は優にあった気がする。

 「三十メートル歩きながらフォーメーションを変えるとなると、かなり色んな事が出来ると思うわ。まずは、どんなことをやるかを紙に書き起こしてみるの。コンテと言うんだけどね。それでショーの全体を作ってみてから練習するの。あとは、ドラム隊やファンファーレ隊も、何か技とか見せ場があるといいんじゃないかしら?」
 
 メイソンも隊員も、クレアの通訳に耳を傾けながら、美桜の話を真剣に聞いている。

 「もし私に手伝えることがあったら、いつでも連絡してね。みんなで力を合わせて、式典で素敵な演技を披露出来るよう、私も祈ってます」
 
 隊員達は皆、やる気に満ちた顔で美桜に頷いてみせた。
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