桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「やあやあ、美桜ちゃん美桜ちゃん」
 
 ジョージは陽気に声を掛けながら広間に入ってくると、美桜の手を握ってぶんぶん振る。

 「こんにちは。お邪魔しています」
 
 そう言いながら美桜は、必死に笑いを堪えていた。

 (美桜ちゃん美桜ちゃんって。二回も)
 
 なんだか笑いのツボに入ってしまったようだ。
 ジョージの一挙手一投足がおもしろく感じてしまう。

 (いや、笑っちゃ失礼よね)
 
 なんとか真顔をつくると、美桜はジョージの後ろにいるアレンに目を向けた。

 「こんにちは。アレン、具合はどう?」
 「こんにちは。おかげですっかり良くなったよ」
 「そう、良かった」
 
 美桜が微笑むと、アレンも少し表情を緩める。

 (あれ?でもなんか、いつもより元気なさそうな気がする)
 
 美桜がそう考えていると、ジョージが、さあさあテーブルへどうぞと促す。
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