桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「先日、美桜ちゃんにはすっかりお世話になったね。本当にありがとう」
 「いえ、そんな。何もしていません。私の方こそ、今回の滞在ではとても良くしていただいて。本当にありがとうございます」
 
 いやいやいや、と顔の前で手を振りながらジョージが言う。

 「いつでも気軽に遊びに来てください。なんならもう一週間ほど、パレスに泊まっていったらどう?」
 「ええ?いえ、そんな」
 「部屋はたくさんあるし、うん。そうすればいいよ。飛行機は手配し直せばいい」
 「親父、無茶言うなよ。美桜は仕事があるんだ」

 え、そうなのかい?と、アレンの言葉に驚いてジョージは美桜を見る。

 「あ、はい。そうなんです。四年間働いているところに、卒業後正式に就職することになっていまして。今回有給休暇をもらって来ました」
 
 そうなのか、それは仕方ない、とちょっとしょんぼりしたジョージは、気を取り直して言う。

 「でもまた休みが取れる時はいつでも来てください。皆で大歓迎しますよ」

 その言葉に、周りにいたクレアやグレッグ達も頷く。

 「はい。ありがとうございます」

 美桜は胸が熱くなるのを感じた。
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