桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
「これ…」
「あ、あの、もちろんアレンはもっといいもの持ってるし、フォーマルな装いには合わないと思ったんだけど、その、ほら、今日みたいにオフの時とか、カジュアルな服装の時にでも、着けてもらえたらって…」
早口でまくしたてる美桜の言葉は気にも留めず、アレンはゆっくりケースに手をやる。
取り出したのは腕時計だった。
ロイヤルブルーの深い色合いで、シックな雰囲気のなかにデザインの斬新さも感じられる。
一目で気に入ったアレンは、早速今着けている時計を外してポケットにしまうと、もらったばかりの時計をはめてみた。
大事そうに手で触れると、どう?と顔の横に持ってきて、美桜に見せる。
「あ、お、お似合いです」
妙な口調の美桜に笑うと、アレンはもう一度じっくり時計に目を落とす。
「ありがとう。ずっと大切にする」
「あ、うん」
アレンの穏やかな、それでいて嬉しそうな横顔を見ながら、贈ってよかったと美桜は思った。
二人はそのあとも、黙ったまま時を過ごした。
(この時間がもっと続きますように)
けれど確実に、夕陽は刻々と沈んでいった。
「あ、あの、もちろんアレンはもっといいもの持ってるし、フォーマルな装いには合わないと思ったんだけど、その、ほら、今日みたいにオフの時とか、カジュアルな服装の時にでも、着けてもらえたらって…」
早口でまくしたてる美桜の言葉は気にも留めず、アレンはゆっくりケースに手をやる。
取り出したのは腕時計だった。
ロイヤルブルーの深い色合いで、シックな雰囲気のなかにデザインの斬新さも感じられる。
一目で気に入ったアレンは、早速今着けている時計を外してポケットにしまうと、もらったばかりの時計をはめてみた。
大事そうに手で触れると、どう?と顔の横に持ってきて、美桜に見せる。
「あ、お、お似合いです」
妙な口調の美桜に笑うと、アレンはもう一度じっくり時計に目を落とす。
「ありがとう。ずっと大切にする」
「あ、うん」
アレンの穏やかな、それでいて嬉しそうな横顔を見ながら、贈ってよかったと美桜は思った。
二人はそのあとも、黙ったまま時を過ごした。
(この時間がもっと続きますように)
けれど確実に、夕陽は刻々と沈んでいった。