桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「ね、美桜」
 
 横からそっと絵梨が小さなケースを差し出し、美桜は頷いてメアリーから体を離した。

 「メアリー、これ。絵梨ちゃんと私からのささやかなお礼なの。受け取ってくれる?」
 「え、まあ!そんな。何ですの?」
 
 絵梨がそっとケースを開けて、中からネックレスを取り出した。

 「私達とお揃いのアクセサリーなの。私は星のピアス。ほら」
 そう言って絵梨は左耳を触ってみせる。

 「私はリボンのブレスレット」
 美桜も左手首のブレスレットを見せる。

 「そして、メアリーにはハートのネックレス」
 絵梨がそう言って、メアリーの後ろに回ってネックレスを付けた。

 「うん!よく似合ってる。みんな形は違うけど、流れるようなデザインは一緒なのよ。それと、左端に三つのラインストーン」
 
 そう言って三人はそれぞれお互いのモチーフを見比べる。

 「離れていても、心はいつでも繋がっているから」
 そう言ってリボンを見せる美桜。

 「寂しくなったら星を眺めてね。同じ空の下にいるよ」
 絵梨が人差し指でピアスを触る。

 「そしてハートの温かいメアリー。その優しさはいつまでも忘れないよ。ね?」
 
 美桜と絵梨が微笑みかけると、もう無理とばかりにメアリーの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。

 「ありがとうございます。こんな、素敵な…。私の方こそ、お二人のことは決して忘れません。本当にありがとうございます」
 
 三人は肩を寄せ合って抱き合い、半分泣き顔のまま笑い合った。
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