桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「由香先輩、みどり先輩、お休みさせていただいてありがとうございました。これ、お土産です」
 
 そう言って美桜は、紙袋をテーブルに載せる。

 「なになにー?お、おいしそう!本場イギリスの紅茶と、ショートブレッド!早速食べよ」
 
 由香はいそいそとティポットを持ってくる。

 「みどりの分も淹れるね。美桜は?飲んでく?」
 「あ、私はいいです。業務日誌読んだり、連絡ノートチェックしたいので」
 「帰ってきて早々、さすがねー」

 由香はポットにお湯を注ぎながら言う。

 「時差ボケは大丈夫なの?昨日帰国したばかりでしょ?」
 「はい、しっかり寝たので大丈夫です」
 
 するとみどりが席から立ち上がって、美桜にファイルを渡した。

 「これ、今日の美桜のシフトと、連絡事項ね。ミーティングがメインかな。本当はショーのメンバーからも外してあげたかったんだけど、なかなか上手く組めなくて。まだ休みのメンバーもいるから。ごめんね、帰国早々にハードになっちゃって」
 「いえいえ、全然構わないです。張り切って踊りまーす」
 
 美桜がガッツポーズでおどけると、二人の先輩もおだてるように拍手した。
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