桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 このグリーティングパレードは、美桜が最も好きなショーの一つだ。

 大きなフロートを囲んだダンサー達が、踊りながらパーク内をぐるっと一周する。

 踊りといってもきっちり踊るのではなく、時にはゲストに手を振ったり、近くまで行って、こんにちはーと声をかけたり、その名の通り挨拶しながら回るのだ。
 
 そして最後に、イベント広場と呼ばれる広いエリアに出ると、ダンサーはそこで初めて一つに集結し、音楽に合わせてダンスショーを披露する。

 最後のポーズを決めると、ステージの両端から紙吹雪が飛び出し、小さな子どもたちは歓声を上げて懸命に手を伸ばした。

 季節ごとに変わる紙吹雪は、今は雪の結晶の形だった。
 
 バックヤードに戻り、美桜は自分の頭に付いていた紙吹雪を取ってじっくり見てみる。

 (綺麗だなー。冬らしくていいね)
 
 美桜は、自分のドレッサーの鏡に飾ることにした。
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