桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「あ、美桜先輩!」
 
 心配そうにこちらを見ていた綾乃が、ほっとしたように手招きする。

 「お、おまたせ。はあ、きつい」
 「先輩、大丈夫ですか?」
 「大丈夫。はは。久しぶりにダッシュしたわ。それよりえっと、三ポジって…」
 
 簡単にフォーメーションや移動の動線、ポーズを確認する。
 美桜自身、三番ポジションを踊るのはかなり久しぶりだった。

 「本番五秒前!」
 みどりが舞台袖で声をかける。

 「みんなフォローお願いね」

 美桜がそう言って笑うと、綾乃達は、はい!と頼もしい返事をした。
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