桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「パレード、レスト!」
 
 バックヤードまで来ると、休めの号令をかけ、お疲れ様でした!と言うドラムメジャーに、皆もお疲れ様でした!と声を揃える。
 
 ショーが終わった。

 次の瞬間、はーっと皆一斉にその場にしゃがみ込む。

 「いやー、しびれたわ」
 「ホント、みんな同じ気持ちだったよね?あの時」
 「そうそう。どうなる?どうする?二回転、いくの?みたいな」
 「ははは、みんなすんごい顔でこっち見てたぞ」
 
 笑って帽子を脱ぎながら直樹が言う。

 「そりゃそうですよ、直前であんな風吹くなんて。ビビりますって」
 
 まだ経験の浅い圭太がうらめしそうに直樹を見上げる。

 「まあな。でもよくやったよ」

 ポンッと圭太の肩を叩いてから、みんなもおつかれさん!と手を挙げて、直樹は颯爽と階段を下りて行った。
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