桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「ふう、ただいま」
 
 テーブルに鞄を置くと、美桜はそのままベッドにボフッと顔から飛び込んだ。

 (ああ、疲れた)

 みどりの言った通り、体は思った以上に疲れていたようだ。

 じわじわと全身に疲労感が漂っていく。

 (あー、買い物、忘れちゃった)
 
 帰りにスーパーに寄るはずが、すっかり忘れて帰って来てしまった。

 これから行くのも、考えただけでうんざりする。

 (ま、いいや。適当にパスタでも作ろ)
 
 ふあーっとあくびをしながらキッチンへ行き、簡単にミートソースのスパゲティを作って食べる。

 と、スマホにメッセージの着信があったことに気付く。

 「あ、メイソンからだ!」

 いそいそと開くと、送られてきたのは動画だった。

 「みおさまーお元気ですか?」

 そう言って手を振るメイソンの後ろで、護衛隊の皆も、ミオサマーと手を振っている。

 「わー、みんな。元気だよー」
 美桜も思わず画面に手を振る。

 「あれからまた少し、練習しました。見てください」
 
 メイソンがそう言ったあと、皆は一斉に走って列を作る。

 メイソンが手拍子しながら号令を出すと、列は前に歩き出す。

 と、思ったら手前から順に、タイミングをずらしながら後ろ歩きになる。

 しばらくそのまま後ろに進んだ後、また前に歩き始めた。

 全体としてみると、大きな波のような動きだ。
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