桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「はーい、じゃあ今から早速バレンタインショーの振り写しします」
 
 レッスンルームに集まったメンバーを前に、由香が言う。

 「まずはこの六人でショーを固めていきます。初日を迎えたら、もう一つのチームメンバーにもレッスンしていくので、まずはあなた達で無事に完成まで持っていってね」
 「はい!」
 
 六人は揃って返事をする。
 
 ドリーミーバレンタイン、と名付けられた今年のショーは、舞台やダンサーの人数も今までとは違う初めてづくしということで、メンバーもある程度経験を積んだ六人が選ばれた。

 美桜と巧、綾乃と智也(ともや)、涼花と温人(はると)の三組だ。
 
 十四日間の開催中、ずっとこのメンバーでやる訳にはいかないので、もうひとチーム作って怪我や欠勤に備える。
 
 今日は一月二十三日。綾乃や涼花達が有給休暇を終えて戻ってきたこの日に、ショーの最初から最後まで、一通り踊れるようにならなくてはいけない。

 なぜなら、一回目のリハーサルは、明日の早朝にあるからだ。
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