桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 怒ってはみたものの、綾乃の可愛らしい仕草は、なぜか自分がやると全く違って見える。

 「このショーは、女の子の可愛らしさがメインなのよ。ぶりっ子すぎる感じでいいくらい。美桜、女子高生の頃を思い出しなよ」
 
 由香の言葉に美桜は、うーんと唸る。

 「私、高校生の時もぶりっ子じゃなかったし」
 「まあ、そうだろうね」
 
 少し考えてから、由香はポンッと手のひらを打った。

 「よし、じゃあポジション変更!センターは綾乃ね」
 「ええー?私ですかー?」
 
 びっくりする仕草がまさに可愛らしく、美桜は頷いて綾乃の肩に手を置いた。

 「うん、適役だわ。あやちゃん、お願いね」
 「ええー、出来る自信ないですう」
 「大丈夫だって。ほら、相手役の智也もフォローしてくれるし。ね?智也」
 
 そう言って智也を見ると、

 「ええー?僕も自信ないですう。でもがんばろう!綾乃ちゃん」

 と、アイドル顔で、綾乃と同じ口調で言う。

 「ははは、まさに適役だわね」

 由香は苦笑いしつつ頷いた。
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