桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「え、ええ?お父様?ど、どうしてここに?」
 「うん、ちょっとおいしい天ぷらを食べたくなってね」
 「て、天ぷら?天ぷらを食べに日本に?」
 「そう。銀座にいいお店があってね。美桜ちゃんも一緒に行かないかい?」
 
 すると運転席からメイソンが降りてきて、美桜にお辞儀をすると後部ドアを開けた。

 「わ!メ、メイソン」
 
 驚いてそれしか言えないでいると、ジョージが美桜に手招きする。

 「美桜ちゃん、早く乗りなよ」
 「あ、は、はい」
 
 もう何がなんだか。
 とにかく美桜は車に乗り込んだ。

 メイソンがドアを閉め、ゆっくりと車を走らせ始める。

 「高速道路使うとあっという間に銀座に着くよ」
 「そ、そうですか、あの」
 
 一体どうしてここに?と聞こうとして、あ、そうか天ぷらを食べにか、と一人で完結する。
 
 美桜が混乱している間に、ジョージの言葉通り、あっという間に店に着いた。
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