桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「美桜ちゃんが帰った後のパレスと言ったらもう!暗いのなんのって。アレンもグレッグも、全く頭が働かなくて仕事にならんし、クレアなんぞは、三分に一回溜息をついておる。だからね、私は家出したくなったんだ。プチ家出ってやつだな」
 「プチ家出…」
 
 その割には移動距離が半端ない。

 「まあ、メイソンだけはしっかりしておる。護衛隊達も式典に向けて頑張っておるようだしな。ボーナスを出してやらねば」

 (わー、やったねみんな!ボーナスだって)
 自分のことのように美桜は嬉しくなる。

 「そういう訳だよ。でも来て良かった。天ぷらはおいしいし、美桜ちゃんにも会えた。たった三日間でも、思い切って良かったよ」
 
 そう言うとジョージは、美桜に封筒を差し出した。

 「なんでしょう?」
 「まあいいから、開けてごらん」
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