桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 美桜は封筒を手に取った。

 隅に航空会社のロゴがあり、開くとイギリス行きのチケットが入っていた。

 日付は明日。
 名前の欄は…

 (MIO YOSHINO? え?これって)
 
 自分の名前が書かれていることに驚いて、パッと顔を上げてジョージを見つめる。

 「美桜ちゃん。私は今回、行きたいと思って日本に来た。たとえ一泊三日でも関係ない。ただ行きたかった、それだけだ。来なければこの三日間は、いつもの普通の三日間になっていただろう。でもほんの少し思い切ったら、こんなに楽しい思いが出来た」
 
 そこまで言うとジョージは、まじまじと美桜を見つめる。

 「美桜ちゃんが行きたいと思うなら、その飛行機に乗ればいい。何日行けるかとか、そんなことは関係ない。ただ行きたい、その気持ちがあるならそれで充分だ」
 
 そして再び天ぷらを口に運ぶと、ジョージは満面の笑みを浮かべた。

 「ああ、おいしい!最高の気分だ」
< 190 / 238 >

この作品をシェア

pagetop