桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 テーブルの上に置いたチケットを見つめたまま、美桜はずっと考え込んでいた。
 
 あの後、メイソンの運転でアパートの前まで送ってもらうと、
 「じゃあね、美桜ちゃん。お休み」
 と、いつもと変わらない笑顔でジョージは手を振った。

 (行ける訳ない。こんな急にイギリスなんて。仕事もあるし、大学だってまだ行かなきゃ)
 
 そう思っても、どうしてもあの時のジョージの言葉が頭から離れなかった。

 「ただ行きたい、その気持ちがあるならそれで充分だ」
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