桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
「こ、こ、これ」
そう言って、さっき立っていたシフト表の前を振り返る。
(落としたんだ。あやちゃんが来て、急いでファイルにしまった時)
「ねえ美桜。何があったのかは知らない。聞くつもりもない。でもね、あなたは行くべきよ。さっきシフト表の前で、どんな顔してたと思う?胸が張り裂けそうなくらい切ない顔だったわよ」
いつもの口調ではなく、真剣にゆっくりと由香は美桜に話しかける。
「あんな顔の美桜は初めて。美桜らしくない。だから行って。いつもの美桜を取り戻してきて。ね?こっちのことはなんとかなるから」
「え、でも…」
すると、それまで隣で黙って由香の言葉を聞いていたみどりが、美桜、と口を開く。
「ねえ、さっき美桜がそのチケットを落として、それを由香が拾ったのって、運命だと思わない?だってあなたがチケットを落とさなければ、そのままここであなたはミーティングに参加していたでしょう?きっと、イギリスに行きなさいっていう神様のお告げよ」
恋愛の神様のね、と小声で付け加えて、みどりは美桜に笑いかける。
「さあ、急いで!羽田空港だから、今からでも間に合う。ほら!」
由香に背中を押され、美桜は涙目で二人を振り返った。
「由香先輩、みどり先輩」
「帰ってきたら、全部ちゃんと話してね!楽しみにしてる、お土産話。あ、お土産もね」
みどりはそう言うと、さあ!と美桜を促す。
「ありがとうございます!」
美桜は二人に深々とお辞儀をすると、くるりと向きを変えて走り出した。
「行ってらっしゃーい!」
由香とみどりは、大きな声で見送った。
そう言って、さっき立っていたシフト表の前を振り返る。
(落としたんだ。あやちゃんが来て、急いでファイルにしまった時)
「ねえ美桜。何があったのかは知らない。聞くつもりもない。でもね、あなたは行くべきよ。さっきシフト表の前で、どんな顔してたと思う?胸が張り裂けそうなくらい切ない顔だったわよ」
いつもの口調ではなく、真剣にゆっくりと由香は美桜に話しかける。
「あんな顔の美桜は初めて。美桜らしくない。だから行って。いつもの美桜を取り戻してきて。ね?こっちのことはなんとかなるから」
「え、でも…」
すると、それまで隣で黙って由香の言葉を聞いていたみどりが、美桜、と口を開く。
「ねえ、さっき美桜がそのチケットを落として、それを由香が拾ったのって、運命だと思わない?だってあなたがチケットを落とさなければ、そのままここであなたはミーティングに参加していたでしょう?きっと、イギリスに行きなさいっていう神様のお告げよ」
恋愛の神様のね、と小声で付け加えて、みどりは美桜に笑いかける。
「さあ、急いで!羽田空港だから、今からでも間に合う。ほら!」
由香に背中を押され、美桜は涙目で二人を振り返った。
「由香先輩、みどり先輩」
「帰ってきたら、全部ちゃんと話してね!楽しみにしてる、お土産話。あ、お土産もね」
みどりはそう言うと、さあ!と美桜を促す。
「ありがとうございます!」
美桜は二人に深々とお辞儀をすると、くるりと向きを変えて走り出した。
「行ってらっしゃーい!」
由香とみどりは、大きな声で見送った。