桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 バタバタッと慌てて玄関から部屋に入ると、美桜は急いでクローゼットからボストンバッグを引っ張り出す。

 「えっとまずはパスポートでしょ。あとは着替えと、えーっとなんだ?」
 
 急ぐあまり、頭が働かない。

 もういいや!と半ば投げやりに荷造りを終える。

 いつも出勤する時に持っている鞄を持っていけば、そこに財布やスマホなども入っている。
 
 最後に火の元や電気を確認すると、美桜は家を飛び出した。

 駅までの道を走りながら、
 (行くんだ、行けるんだ、イギリスに!)
 自然と笑顔がこぼれ出した。
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