桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「だって俺、今ここに美桜がいてくれて、ものすごく嬉しいんだ。空っぽだった心が、温かい幸せで満たされていくのを感じる。俺には美桜が必要なんだ。美桜のそばが俺の居場所なんだ。これからもずっと、美桜と一緒に毎日を過ごしたい。一緒に色んなものを見て、笑ったり、感動したり、時には悩んだり、助け合ったり。そして美桜を幸せにしたい。美桜の笑顔をずっとずっと守りたい。それが俺の幸せなんだ。だから」
 
 アレンは一呼吸置くと、真剣な眼差しで美桜に告げた。

 「俺は日本に行く。決めた、美桜と一緒に日本で暮らすよ」
 
 沈黙の静けさが広がる。

 美桜はじっとアレンを見つめていたが、やがて視線を落とすと、そっと首を振った。

 「美桜?どうして…」
 「ダメよ、アレン。アレンはここに必要な人でしょう。そんなこと言っちゃダメ」
 
 アレンの目に悲しみの色が浮かぶ。

 美桜は正面からアレンに向き直った。
< 209 / 238 >

この作品をシェア

pagetop