桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「だから飛行機に飛び乗ったの。アレンに会いたくて会いたくて。ただそれだけで」
 「美桜…」 

 (知らなかった。そんなことがあったなんて)
 
 美桜がいったいどれだけの覚悟でここに来てくれたのか、そう思うとアレンは美桜を抱きしめたくてたまらなくなった。
 
 美桜は、真っ直ぐアレンを見つめて告げる。

 「今、こうしてアレンのそばにいて、来て良かったって心から思う。本当の私を取り戻せた気がする。私、ずっとずっとアレンのことが好きだったの。空港で離れたくなかった。本当は引き留めて欲しかった。この先もずっとアレンのそばにいたい。それが、私が私らしく生きていく道だから」
 
 美桜はそこで言葉を止めた後、決意に満ちた表情で続けた。

 「私がイギリスで暮らします。アレンのそばで、ずっと」
 「美桜…」
< 211 / 238 >

この作品をシェア

pagetop