桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 アレンは、電車に乗ってからも外の景色に見入っている。

 ようやく美桜の実家の最寄駅に着くと、懐かしい!と目を輝かせた。

 「ここはあまり変わってないね。覚えてる、美桜の家で、俺達四人でパーティーしたの」
 「ああ、そうだったよね。アレンの帰国前にみんなでさよならパーティーしたよね」
 「というよりは、美桜のバースデーパーティーだったよ。三月二十七日だよね」
 
 よく覚えてるね、と言う美桜に、当たり前だろとアレンは笑う。

 美桜は少し嬉しくなった。

 「じゃあ、今日のところはここで。送ってくれてありがとう」
 
 家に着くと、門の前でアレンと美桜は向き合った。

 「あとで電話するね。どんな様子か」
 「うん、分かった。ご両親によろしくね」
 
 それじゃあ、と別れようとした時だった。

 「あら?美桜?」
 玄関の開く音がして、母親が出て来た。
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