桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「はーい、お待たせ。仁くんのコーヒーね」
 
 美桜達が席に戻ってきて、皆で久しぶりの再会を喜ぶ。

 「このカフェで四人揃うなんて、懐かしいね」
 「うん。あの頃は楽しかったよね」
 
 すると絵梨が、改めてアレンと美桜の顔を見比べながら身を乗り出して聞く。

 「ところでお二人さん。なぜ今日はまたお揃いで?私と仁に話でもあるんじゃありませんこと?」
 
 やはり絵梨も、ここに来るまでにある程度予想していたのだろう。

 (いやー、でもどこまで想像してるのやら?)
 
 仁は心の中でほくそ笑む。

 「うん。あの、あのね」
 少しうつむきながら、はにかんだように美桜が話し出す。

 「実は、私とアレン、結婚することにしたの」
 
 えっ!と驚いて目を大きく見開いたかと思うと、次の瞬間絵梨は、ぽろぽろと大粒の涙をこぼし始めた。

 「わ!え、絵梨ちゃん?ちょっと大丈夫?」
 「結婚…、美桜がアレンと結婚なんて。すごい、すごいよ。だって私、二人の気持ち気付いてたから。お互い惹かれ合ってるの、見てて分かったもん。それなのに、何も言わずに別れたりして…。あの時私まで切なかった。だから嬉しくて。良かったね、美桜」
 「…絵梨ちゃん」
 
 美桜の目からも涙がこぼれ落ちる。

 そうだ、いつだってそばで自分のことを見守ってくれていた。

 言葉にしなくても、気持ちを分かってくれていたんだ、絵梨は。
 
 そして今も、まるで自分の事のように涙を流して喜んでくれている。

 「ありがとう、絵梨ちゃん。本当にありがとう」
 「おめでとう、美桜。幸せにね」
 
 二人は泣きながら笑い合った。
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