桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「いやー、めでたい。こんなめでたい日はないわ。乾杯しよ!乾杯」
 
 ようやくいつもの明るさで、絵梨がグラスを上げる。

 「美桜、アレン、結婚おめでとう!」
 
 かんぱーい!と四人はグラスを高く合わせる。

 「あーあ、でも美桜、イギリスに行っちゃうのか。寂しくなるな。アレン、美桜のこと頼んだわよ。悲しい思いさせちゃダメよ」
 「ああ、分かってる。約束する。それに絵梨も仁も、いつでもフォレストガーデンに遊びに来てくれ」
 「あ、そっか!その手があったか!」

 絵梨は急に嬉しそうな顔に戻る。

 「じゃんじゃん行っちゃう!美桜に会いに!
 あの素敵なフォレストガーデンに!」
 
 ああ、我が心のふるさと、と、またもやミュージカル口調になる絵梨に、美桜も笑い出す。

 (楽しみ!この先の人生も、きっと素敵なことが待っている気がする) 
 
 美桜は心からそう思った。
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