桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 リサは、また別の新しい部屋へ美桜を招き入れる。

 大きなドレッサーがあるそこは広々としていて、壁にはさっきのブルーのドレスが掛けられていた。

 姿見が置かれた絨毯の真上には、天井からくるりと丸くカーテンレールが付いていて、カーテンの中で着替えられるようだ。

 リサは美桜をドレッサーの前のふかふかの椅子に座らせると、慣れた手つきで美桜の髪をドライヤーで手早く乾かす。

 それで終わりかと思いきや、続けてリサは、目を見張るスピードでくるくるといくつものカーラーを美桜の髪に巻いていく。

 (すごーい。プロのヘアメイクさんかしら?)

 美桜のその考えは正しかったようだ。
 リサはやがて大きなメイク道具を取り出し、これまたスピーディーに美桜にメイクを施していく。

 時折離れて、少し考えるように壁のドレスと美桜の顔を交互に眺めてから、またさっと手を動かし始める。

 その鮮やかな手つきを眺めているうちに、気付けばメイクもヘアセットも終わっていた。
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