桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 Finished!(終わり) のリサの声に顔を上げて、美桜は鏡の中の自分にびっくりした。

 別人のように綺麗にメイクされている。

 「えー!誰これ、すごい!こんなの初めて」

 まじまじと鏡を覗き込む美桜に満足そうに頷いてから、リサは美桜を絨毯の上に連れていく。

 小さな棚の前にしゃがんで何か考えているようだったリサは、やがて立ち上がり、取り出したものを美桜に渡した。

 「How about this…アー、サイズOK?トライシテミテ」
 そう言い残して、カーテンを閉める。

 渡されたものは、よく見ると新品の下着類だった。

 (えっとこっちはコルセット?かな)

 肩紐はなく、胸からお腹部分を覆うタイプで、小さなホックをいくつか背中で止める。

 (うおー、引き締まるー)

 昔、ヨーロッパの貴族婦人は、ウエストを細く見せるためにコルセットをぎゅうぎゅうに締め上げていたことを思い出す。

 (なんかのイラストで見たなあ。柱にしがみついて、メイドが紐をぎゅーって締めるのを耐えるのよね。うー、怖い怖い)

 そこまではいかなくとも、このコルセットも美桜のお腹をきゅっと締めて細く見せてくれる。
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