桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「じゃあ部屋に戻ろうか」
 「あ、うん。そうだね」

 美桜は、こちらの様子を心配そうに窺っていたリサに向き直る。

 「リサ、色々とどうもありがとう。Thank you for everything.」
 「It’s my pleasure! Have a good one!(どういたしまして。素敵な夜を)」

 出口で見送ってくれるリサにもう一度手を振ってから、美桜と仁は歩き出した。

 肩を並べて小道を進みながら、美桜はそっと隣の仁を見上げる。

 (なんだろう?いつもの仁くんじゃないみたい)

 さっきまでのウキウキした気分もどこかへ行ってしまい、美桜はただ黙って仁と歩く。

 そのうちに、ずっと疑問だったことが頭の中に蘇ってきた。

 「そうだ、仁くん!」
 
 急に大きな声で呼ばれ、仁はびくっとしながら美桜を見る。
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