桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
「いやーこれはこれは!ようこそパレスへ!」
外階段を上がってバルコニーから部屋に戻ると、急ににこやかで人の良さそうな笑顔の男性が握手を求めてきた。
「あ、こ、こちらこそ。お邪魔しています」
びっくりして怯みそうになりつつも、なんとか冷静を装う。
(えっと、この方がアレンのお父様?)
ぶんぶんと握った手を強く揺さぶられながら、美桜はまじまじと見つめ直す。
背は、お世辞にもスラッとしているとは言えず、どちらかと言うと小柄でぽっちゃり気味の、なんとも愛嬌のある感じだ。
(絵本に出てくる王様みたいに可愛らしい感じ、なんて言ったら怒られるわね)
予想とは違ったけれど、近寄りがたい雰囲気などまるでなく、美桜はほっとした。
「あの、初めまして。吉野美桜と申します。急にお邪魔して申し訳ありません。今、フォレストガーデンに泊まらせて頂いてます。とても素敵なところで。本当にありがとうございます」
改まって頭を下げる。
「いやいやそんな。いつでも大歓迎ですよ。私はアレンの父のジョージです。さあテーブルの方へどうぞ」
ジョージの向かい側にアレンと並んで座ると、ようやく落ち着いた。
クレアやグレッグが、手早く食器を並べてくれる。
「いやー、アレンにこんな素敵なお嬢さんがいたとはねえ」
「は?親父、何か勘違いしてない?」
「美桜ちゃんと言いましたね。いやー、嬉しい!嬉しい限りですよ。なあアレン」
「なあって。いや、親父、聞いてる?」
「高校が一緒だったってことは、美桜ちゃんもS学園?今も?」
「あ、はい、そうです。大学の四年生です」
「そうですか、うんうん。さあまずは乾杯しましょう」
乾杯の後はおいしいランチを頂く。
一方でジョージの話は止まらない。
「実は私もね、昔S学園大学に留学していたんですよ。二年ほどね」
「え?そうなんですか?」
美桜は驚いてアレンを見た。そんな話は聞いたことがなかった。
「そうなんです。もともと日本に興味があって。いつか、写真で見るような風景や神社を実際に見に行きたいとずっと思ってました。大学に進む時に、ふっと思いついたんです。日本の大学に行きたいと。親には最初反対されてね。日本とは縁もゆかりもないからと。でも私は一度決めたらやり通す性格なんです。自分で手配すると言ってあらゆる大学からパンフレットを取り寄せました。たくさんある中で、S学園のパンフレットだけが目に飛び込んできたんです。絶対ここがいい!って」
外階段を上がってバルコニーから部屋に戻ると、急ににこやかで人の良さそうな笑顔の男性が握手を求めてきた。
「あ、こ、こちらこそ。お邪魔しています」
びっくりして怯みそうになりつつも、なんとか冷静を装う。
(えっと、この方がアレンのお父様?)
ぶんぶんと握った手を強く揺さぶられながら、美桜はまじまじと見つめ直す。
背は、お世辞にもスラッとしているとは言えず、どちらかと言うと小柄でぽっちゃり気味の、なんとも愛嬌のある感じだ。
(絵本に出てくる王様みたいに可愛らしい感じ、なんて言ったら怒られるわね)
予想とは違ったけれど、近寄りがたい雰囲気などまるでなく、美桜はほっとした。
「あの、初めまして。吉野美桜と申します。急にお邪魔して申し訳ありません。今、フォレストガーデンに泊まらせて頂いてます。とても素敵なところで。本当にありがとうございます」
改まって頭を下げる。
「いやいやそんな。いつでも大歓迎ですよ。私はアレンの父のジョージです。さあテーブルの方へどうぞ」
ジョージの向かい側にアレンと並んで座ると、ようやく落ち着いた。
クレアやグレッグが、手早く食器を並べてくれる。
「いやー、アレンにこんな素敵なお嬢さんがいたとはねえ」
「は?親父、何か勘違いしてない?」
「美桜ちゃんと言いましたね。いやー、嬉しい!嬉しい限りですよ。なあアレン」
「なあって。いや、親父、聞いてる?」
「高校が一緒だったってことは、美桜ちゃんもS学園?今も?」
「あ、はい、そうです。大学の四年生です」
「そうですか、うんうん。さあまずは乾杯しましょう」
乾杯の後はおいしいランチを頂く。
一方でジョージの話は止まらない。
「実は私もね、昔S学園大学に留学していたんですよ。二年ほどね」
「え?そうなんですか?」
美桜は驚いてアレンを見た。そんな話は聞いたことがなかった。
「そうなんです。もともと日本に興味があって。いつか、写真で見るような風景や神社を実際に見に行きたいとずっと思ってました。大学に進む時に、ふっと思いついたんです。日本の大学に行きたいと。親には最初反対されてね。日本とは縁もゆかりもないからと。でも私は一度決めたらやり通す性格なんです。自分で手配すると言ってあらゆる大学からパンフレットを取り寄せました。たくさんある中で、S学園のパンフレットだけが目に飛び込んできたんです。絶対ここがいい!って」