桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
「アレン、食事の準備が出来たよ。みんな待ってる」
「分かった、すぐ行くよ」
アレンを待ちながらふと遠くに目をやった美桜は、小高い丘の上に何かを見つけて首を傾げる。
(なんだろう、あれ。大きな門かな?なんだか古い施設みたいな?)
「どうかした?」
馬を繋いでからやってきたアレンは、美桜の横に並んで同じように目線を上げた。
「あ、うん。あれって何かなと思って」
美桜が言うと、しばらく黙って丘を見つめていたアレンは、なぜだか再び丸太の階段を下りて馬を引いてきた。
「アレン?」
「さ、乗って」
「ええ?」
急に目の前に馬を連れてこられ、乗ってと言われても…、と戸惑う美桜だったが、アレンの様子がいつもと違うこともあり、素直に従うことにした。
「よいしょっと。うわっ」
階段の上からなのですんなり跨れたのはいいけれど、馬の上は想像以上に高くて少し怯んだ。
続いてアレンも慣れた様子で跨る。
美桜とアレンはかなり密着することになったが、よく見ると美桜が座りやすいように、アレンは半分立ったままだ。
「しっかりつかまってて」
そう言うとアレンは手綱をさばいて、一気に馬を走らせ始めた。
「うわっ!」
あまりの振動に美桜は思わずのけ反る。
するとアレンが後ろから片手を回して、ぐっと美桜の腰を支えた。
とたんに体が安定して、美桜は上手く体重を馬に預けられるようになり、肩の力を抜いた。
(わー、なんだか楽しい!気持ちいいなあ)
急に余裕が出てきて、顔だけ後ろのアレンを振り返り、にこっと笑いかける。
アレンは一瞬面食らったが、無邪気な美桜の笑顔につられて、ふっと顔を緩めた。
「もう少しスピード上げるよ」
アレンがそう言うと、馬はますます飛ぶように丘を駆け上がる。
「すごーい!風になったみたい」
(このスピードを怖がらないなんて)
「美桜って時々すごいよね」
思わず呟いたアレンの言葉は届かなかったらしい。
「ん?何か言った?」
「いや、何も」
「分かった、すぐ行くよ」
アレンを待ちながらふと遠くに目をやった美桜は、小高い丘の上に何かを見つけて首を傾げる。
(なんだろう、あれ。大きな門かな?なんだか古い施設みたいな?)
「どうかした?」
馬を繋いでからやってきたアレンは、美桜の横に並んで同じように目線を上げた。
「あ、うん。あれって何かなと思って」
美桜が言うと、しばらく黙って丘を見つめていたアレンは、なぜだか再び丸太の階段を下りて馬を引いてきた。
「アレン?」
「さ、乗って」
「ええ?」
急に目の前に馬を連れてこられ、乗ってと言われても…、と戸惑う美桜だったが、アレンの様子がいつもと違うこともあり、素直に従うことにした。
「よいしょっと。うわっ」
階段の上からなのですんなり跨れたのはいいけれど、馬の上は想像以上に高くて少し怯んだ。
続いてアレンも慣れた様子で跨る。
美桜とアレンはかなり密着することになったが、よく見ると美桜が座りやすいように、アレンは半分立ったままだ。
「しっかりつかまってて」
そう言うとアレンは手綱をさばいて、一気に馬を走らせ始めた。
「うわっ!」
あまりの振動に美桜は思わずのけ反る。
するとアレンが後ろから片手を回して、ぐっと美桜の腰を支えた。
とたんに体が安定して、美桜は上手く体重を馬に預けられるようになり、肩の力を抜いた。
(わー、なんだか楽しい!気持ちいいなあ)
急に余裕が出てきて、顔だけ後ろのアレンを振り返り、にこっと笑いかける。
アレンは一瞬面食らったが、無邪気な美桜の笑顔につられて、ふっと顔を緩めた。
「もう少しスピード上げるよ」
アレンがそう言うと、馬はますます飛ぶように丘を駆け上がる。
「すごーい!風になったみたい」
(このスピードを怖がらないなんて)
「美桜って時々すごいよね」
思わず呟いたアレンの言葉は届かなかったらしい。
「ん?何か言った?」
「いや、何も」