桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
「では美桜様、これより私クレアが、パレス一周の旅へとお連れしますわ」
「はい!よろしくお願いします!」
気取ったクレアの調子に合わせて美桜が敬礼すると、クレアはたまらないといったように笑い始めた。
二人はパレスのメインエントランスから外に出て、まずは右側に回る。
「パレスのエントランスは東側にありますの。そして南側が庭園、西側には、あまり手を付けていない自然なままの森林や湖があります」
「え、湖?」
「そうなんです。坊ちゃまが小さい頃は、毎日森の中を駆け回って木登りしたり、湖を眺めてお過ごしでしたわ」
「へえ、アレンにもそんな時があったのね」
話しながら角を曲がると、前回見て回ったフランス式庭園に出た。
こうして端から見ると、とても広い。
建物から庭園の入り口までが、まず遠いのだ。
「ここでは、五月に各国からお客様をお招きして式典が行われます」
「え、式典?何かのセレモニーってこと?」
「ええ。代々ウォーリング家は、二年に一度この式典を行っているのです。懇意にしているお客様をおもてなしして感謝をお伝えする場でもありますし、ウォーリング家の変わらぬ繁栄を見て頂く意味もあります。とても大事な儀式ですわ。今、その準備で旦那様も坊ちゃまもお忙しくしておいでです」
(それであんなに寝る間も惜しんで仕事してるのね、アレンは)
どうか式典が成功しますように、と心の中で美桜は願う。
「はい!よろしくお願いします!」
気取ったクレアの調子に合わせて美桜が敬礼すると、クレアはたまらないといったように笑い始めた。
二人はパレスのメインエントランスから外に出て、まずは右側に回る。
「パレスのエントランスは東側にありますの。そして南側が庭園、西側には、あまり手を付けていない自然なままの森林や湖があります」
「え、湖?」
「そうなんです。坊ちゃまが小さい頃は、毎日森の中を駆け回って木登りしたり、湖を眺めてお過ごしでしたわ」
「へえ、アレンにもそんな時があったのね」
話しながら角を曲がると、前回見て回ったフランス式庭園に出た。
こうして端から見ると、とても広い。
建物から庭園の入り口までが、まず遠いのだ。
「ここでは、五月に各国からお客様をお招きして式典が行われます」
「え、式典?何かのセレモニーってこと?」
「ええ。代々ウォーリング家は、二年に一度この式典を行っているのです。懇意にしているお客様をおもてなしして感謝をお伝えする場でもありますし、ウォーリング家の変わらぬ繁栄を見て頂く意味もあります。とても大事な儀式ですわ。今、その準備で旦那様も坊ちゃまもお忙しくしておいでです」
(それであんなに寝る間も惜しんで仕事してるのね、アレンは)
どうか式典が成功しますように、と心の中で美桜は願う。