桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 何時間経ったのだろう。
 カーテンを閉めていることもあって、今が一体何時なのか見当がつかない。
 
 あれから美桜は、ひたすらアレンのタオルを取り換え、汗を拭き続けた。
 クレアも氷やタオルを補充してくれる。

 アレンの呼吸は相変わらず荒く、表情も辛そうだ。
 けれど、これだけ汗をかいてぐっすり眠れば、明日には熱も下がるような気がする。

 「美桜様、フレディが美桜様にと」
 
 何度目かのタオルの補充とともに、ワゴンに美味しそうなサンドイッチとスープを載せてきたクレアが言う。

 「ありがとう!いただきます」
 
 食べやすいようにカットされた小ぶりのサンドイッチはとてもおいしく、温かいスープはホッと美桜を安心させる。

 添えられたヨーグルトやサラダ、フルーツの見た目も美しく、フレディの優しさを感じた。
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