桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「このままにしててね」
 
 美桜は、アレンの体の下に残ったシャツを引っ張り出すと、そのまま右腕からシャツを全て抜き去った。

 するとクレアが、もう終わっただろうと力を抜いてアレンを横たえようとし、美桜は慌てて止める。

 「あー、まだダメよ!そのままそのまま」
 
 そう言いながら美桜は、ガウンの右腕をアレンに通す。

 あとは同じように、またアレンの体の下にガウンの残りをぐいぐい押しやり、反対向きにさせてから左腕を通した。

 「はあ、なんとか出来たわね」
 
 思ったよりも重労働で、クレアと二人がかりでどうにかこなせたといった感じだ。

 「ありがとう、クレア」
 
 そう言ってから、ガウンの前を合わせようと目を落として、美桜はアレンの体にドキリとした。

 服を着ている時は気付かなかったが、かなり筋肉質だ。
 細身だと思っていたのは、背が高くスタイルが良いためだったのか。

 (うわ、なんだか男の人って感じ)
 
 いや、実際男の人だけど…と、どぎまぎしながらガウンの腰ひもを結んだ。
 と、下はどうしようかと迷う。

 (ズボンも出来れば脱がせた方がいいのだろうけど)
 そこまで考えて、いや、やめよう、と美桜は顔を赤くする。

 ベルトを緩めるだけにしておいた。
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