最強王子とフェンス越しの溺愛キス
出会い
「寒いと思ったら、もう十二月かぁ」
空に厚い雲が浮かんでいるのを見て、ポツリと零す。
昼休みの今、私は一人、お弁当を食べている。
場所は、校舎裏。旧ゴミ捨て場。
「今は誰も立ち入らなくて、ゴミ一つ落ちてないけど……。こんな所で一人、ご飯を食べるのも、何だかなぁ」
食べ終わったお弁当箱を片付ける。すると、袋がすごい速さで風に飛ばされてしまう。
「わ、危ない。フェンスの向こうに行くかと思った……」
ゴミ捨て場の隣は、違う高校。男子校。ちなみに、私の高校は共学。
並んだ高校の間には、目の粗いフェンスがある。腕が一本、余裕で入る目の粗さ……。
「フェンスの向こうに行っちゃったら、さすがに取れないよね……」
と思った、次の瞬間。
また、強い風が吹いて、袋はついに、フェンスの向こうへ行ってしまった。