最強王子とフェンス越しの溺愛キス


「どうして頬にキスをしちゃいけないの?」

「え、あ……っ」



キスされたくない。けど、
その理由を聞かれたくもない。

矛盾した気持ちが私の脳を占領し、他には何も考えられない。



「美月?」



生吹くんの切れ長の目に、ジッと見られる。まるで射抜かれるみたいに。

その真っ黒な瞳に映る、真っ赤な私。



「(もう、ギブアップだ……っ)」



恥ずかしさに耐えかねて、白旗を上げる。これ以上のキスは、私の脳がパンクしてしまう……っ。

正直に、さっきあった出来事を口にした。



「新島に、ほっぺ、舐められて……。だから、汚い、から。生吹くんは、触らないで」

「……」

「(生吹、くん……?)」



急に静かになった生吹くん。私からスッと離れて、距離を取った。



「(あ、そっか。私が素直に話したから、キスを止めてくれたんだ……っ)」



ホッとして、口から吐息が零れる。

だけど――


その零した吐息を拾うように、生吹くんは口を開けて私に近づいた。

そして、パクッと。

私の唇を、食べてしまった。


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