最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「美月、目を閉じて」
「え、め、目……?」
「うん、これから消毒するから」
「っ!」
消毒――その言葉がどういう意味か。さすがの私も分かる。
すると思った通り、生吹くんは私の頬に唇を寄せ、そしてチュッとキスを落とす。
それで終わり。
な訳はなく。
生吹くんは怒ったような、悲しむような、光悦しているような――色んな感情を含んだ目をして、チウッと頬を吸う。
「……あ、ぁっ」
吸われる感覚が、まるで電気が走ったみたいに痺れる。それだけじゃない、何かも――私の中の何かが、どんどん湧いてくる。
「い、ぶき、くん……っ」
もうやめて――
そう言おうとした時に、漆黒の瞳と視線が交わった。そして、綺麗な口がゆるりと動く。
「言ったでしょ?」
生吹くんは、不敵な笑みでニヤリと笑った。
「フェンスがあってちょうどいいって。
俺を止めるブレーキ役、今ほしい?美月」
「っ!」
そう言われて、私は完璧にのぼせてしまった。
フラッと足がもつれて、思わず倒れそうになる。