最強王子とフェンス越しの溺愛キス

その時に助けてくれたのは、やっぱり生吹くんで。



「美月、大丈夫!?」

「(生吹くん、良かった。いつも、通り……だ)」

「美月!」



まるで目を回したように。

私の意識は、そこで途切れるのだった。








「んぅ……」

「あ、起きた?」




目を覚ました時。

私はユラユラ揺れていた。



と言ってもブランコに乗ってるわけでも、シーソーに乗ってるわけでもない。



「(え、あ……うそっ)」



なんと私は、生吹くんにおぶられていた。



「い、ぶきくん!私、重い、から降りるっ」



バタバタと暴れる私に、生吹くんが体全部に力を込めた。ギュッと。


それはまるで「大人しくおぶられてて」と、間接的に言われたようだった。


事実、生吹くんは下ろしてくれる気配は全くない。私は「ごめんね」と力なく謝り、そのまま背中を借りる事にした。



「俺の方こそ、ごめん」

「え?」



歩いてしばらくした時。

生吹くんは暗闇に合わせて声を小さくして、私にゆっくりと謝った。

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