最強王子とフェンス越しの溺愛キス
その時に助けてくれたのは、やっぱり生吹くんで。
「美月、大丈夫!?」
「(生吹くん、良かった。いつも、通り……だ)」
「美月!」
まるで目を回したように。
私の意識は、そこで途切れるのだった。
◇
「んぅ……」
「あ、起きた?」
目を覚ました時。
私はユラユラ揺れていた。
と言ってもブランコに乗ってるわけでも、シーソーに乗ってるわけでもない。
「(え、あ……うそっ)」
なんと私は、生吹くんにおぶられていた。
「い、ぶきくん!私、重い、から降りるっ」
バタバタと暴れる私に、生吹くんが体全部に力を込めた。ギュッと。
それはまるで「大人しくおぶられてて」と、間接的に言われたようだった。
事実、生吹くんは下ろしてくれる気配は全くない。私は「ごめんね」と力なく謝り、そのまま背中を借りる事にした。
「俺の方こそ、ごめん」
「え?」
歩いてしばらくした時。
生吹くんは暗闇に合わせて声を小さくして、私にゆっくりと謝った。