最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「さっき……倉庫で一人になった生吹くんを置いて逃げる時。心配で、仕方なかった。生吹くんが血を流したら、両親みたいに動かなくなったらって」
「うん」
「だから、無事でいてくれた時は、本当に嬉しかった……。生吹くんが強いのは、もう、分かってるつもり。
だけど……。
総長じゃない、暴走族に入ってないって言ってくれて。あぁ良かった、って思っちゃった」
「良かった?」
「そう、安心したの」
暴走族に入ってない、
総長でもない。
それは、
ケンカをしなくていい、
危ない事に巻き込まれない。
というイコールで繋がる。
「もう、大切な人を失いたくない。危険な事に巻き込まれないでほしい。
ごめん、私は……。
自分勝手に、生吹くんを心配して、自分勝手に望んでる。
生吹くんには、血と関係の無い世界で生きて欲しいって」
「……そっか」
生吹くんは、それだけ言って。おぶりながら、私の方へ顔を動かす。
すると、僅かな横顔が見えた。目は、暗くてよく見えない。
「約束するよ。美月を決して不安にさせないって。
だから、美月も約束して」
「え?」