最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「美月が危ない目にあった時は、必ず俺に助けさせて。その時に、いくら俺から血が流れようが最後まで戦わせて。
俺に美月を守らせて」
「い、生吹、くん……っ」
体勢的に視線を合わせる事は不可能だ。けど、今は、生吹くんがわざと目を合わせないような……そんな風にも思えた。
「(何か不安に思ってる、のかな……?)」
その時の私は、そんなありきたりの想像しか出来なかった。
だから、知らなかった。
生吹くんが今なにを考えて、これからどう行動しようと思っていたかなんて。
この時の私は、全く想像つかなかったのだった。
◇
「じゃあ美月、部屋の中に入って」
「うん。送ってくれてありがとう」
昔話をして、程なくして。
私の家に着いた時に、生吹くんはやっと私を降ろした。重かっただろうに、長い間おんぶしてくれて……。
だけど生吹くんは疲れなんて微塵も顔に出さない。ばかりか、
「名残惜しいなぁ」
なんて言ってくれる。