最強王子とフェンス越しの溺愛キス


「美月が危ない目にあった時は、必ず俺に助けさせて。その時に、いくら俺から血が流れようが最後まで戦わせて。

俺に美月を守らせて」

「い、生吹、くん……っ」



体勢的に視線を合わせる事は不可能だ。けど、今は、生吹くんがわざと目を合わせないような……そんな風にも思えた。



「(何か不安に思ってる、のかな……?)」



その時の私は、そんなありきたりの想像しか出来なかった。


だから、知らなかった。


生吹くんが今なにを考えて、これからどう行動しようと思っていたかなんて。

この時の私は、全く想像つかなかったのだった。







「じゃあ美月、部屋の中に入って」

「うん。送ってくれてありがとう」



昔話をして、程なくして。


私の家に着いた時に、生吹くんはやっと私を降ろした。重かっただろうに、長い間おんぶしてくれて……。

だけど生吹くんは疲れなんて微塵も顔に出さない。ばかりか、


「名残惜しいなぁ」


なんて言ってくれる。

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